最近、大手・中堅企業の多くが新規事業への参入を自力では行っていません。今は資金の潤沢な会社が多いこともあって、自力よりはM&Aを活用して他社を買収したり、資本参加によって新規事業を手に入れています。
新規事業を立ち上げるには人材や多くの資金が必要ですが、それだけ苦労してもほとんどは成功につながっていません。その大きな理由は、役員会を通じ誰もが賛成するようなビジネスは魅力に欠けるからです。
美味しいメニューを作ろうとするとき、一人で作るなら少しはリスクがあっても、味を優先させるため生ものや万人受けしないスパイスも使用します。これが何人もで作るとなると、安全第一のために熱を通した刺身さえ作りかねません。
新規による事業参入もこのような流れに似て、ワンマン経営者が新規事業を立ち上げるならリスクもOKですが、何人もの役員によって決めるとなると最も無難な事業しか候補になりません。
起業するときも、これと似たような現象がよく起こります。高齢者から子供まで万人受けするビジネスは、顧客ターゲットの間口が広いですから、大きな成功につながりやすいと思いがちです
ところが、多くの人に受け容れそうな商品やサービスは、ほとんど買いたくなるような魅力的な商品ではありません。商品棚に陳列していても不思議ではないけれど、個人の消費行動にはつながらない商品といって間違いないです。
よく政府や地方自治体が、苦労して商品開発にこぎ着けた商品を売りだすことがあります。ただ今もって、全国的によく売れた官製の商品など思い出せる人はいないと思います。
起業や新規事業では、多くの人の意見を参考に開業しても成功することは難しいです。多くの人によい商品と感心してもらうよりは、少なくても購入してもらえる商品、サービスを扱う事業を考えることです。
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