2014年9月11日、為替相場は5年11カ月ぶりに1ドル=106円台とどんどん大きく円安に振れ続けています。
EU経済が悪化していて、欧州中央銀行が追加の金融緩和を決定ことで、市場にドル買いユーロ売りが起こりました。円も引きずられて、ドル買い円売りになったと言われています。
2012年11月の安倍内閣発足のときから、為替は1ドル=80円台から円安が続いています。円安によって、日本の輸出は増加すると言われましたが、貿易収支の赤字はまったく止まりません。
為替相場は、国の経済力を反映します。わが国の貿易収支の赤字は、間違いなく円安に反映されています。近年は資金取引の比重が大きくなっており、そこで重視されるのがわが国と外国との金利差です。
これまでは円高で推移していたため、金融緩和に関わらず、わが国の金利は異常に低く抑えられてきました。今後は円安が続きますと、否応なく長期金利は下がる可能性が高くなります。
円安は、輸出企業にとっては販売価格の低下につながり追い風です。しかし、内需型中小企業は、輸入物価が上がりますから利幅が少なくなります。日本全体にとっても、思っていたほど円安は経済に貢献していません。
逆に、わが国でインフレが進行しますと、必然的に円安が進み金利は上昇します。今は、これまでの流れで、円安になると株価上昇のパターンで、好意的に受け入れられてきています。
わたしは今回の円安に疑問を感じています。米映画「ゴジラ」が人気でしたが、今回の円安は、インフレ恐竜がまもなく正体を現す最初の気配ではないかと。
政府・日銀は2%のインフレを期待していますが、2%では収まらない、巨大な恐竜になってしまったなんて事もあるのが経済の怖さです。
怖いのは、円安がどんどん進むとか、長期金利が上がり続けるばかりではありません。政府は、1000兆円以上の財政赤字に対し、まったく削減する方法を考えていません。
日銀も、これまで進めてきた金融緩和を手仕舞いする出口作戦をもっていません。次の作戦を考えずに、進攻だけを進めるのは日本が失敗するときよく犯すパターンです。企業経営では、この徹を踏まないことです。
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