安倍首相が提唱する成長戦略の中に、開業率を倍増する計画があります。13年度は5%弱だった開業率を、10%にまで引き上げようとするものです。
開業率、すなわち起業を増やそうとする計画は賛成ですが、問題はその中身です。全国で約4万件だった起業を8万件に引き上げるため、現在各地で起業セミナーや起業塾が開催されています。
主に、自治体や金融機関、NPOなどが中心になって進めていますが、1000件の起業を目標とか、この街から100件の起業実現など、中身よりもまずは起業数を増やすことが目的のようです。
長年起業に関わってきて感じることですが、起業と資格取得とはまったく違った世界の話です。資格の場合は、一発勝負で合格するか失敗するかの問題です。起業は、ビジネスを開業した後にいかに継続するかが問題です。
セミナーにおいて、一律で同じようなマニュアルで勉強しても、似たような発想の起業ばかりが増えるだけ。今、起業に求められているのは、これまでになかったお客さんがびっくりするような、人を引きつける起業です。
政府にとっては、開業率が上がることが大事かも知れませんが、起業する人間にとっては、自分が目指すビジネスや個性に合わせた指導を求めるべきです。人口減少が始まっているわが国において、これは本来進めるべき起業方法です。
わたしは、起業はとてもパーソナルな技能伝承と思っています。「起業の神は細部に宿り」ます。お客さんは、起業家のキャッチコピーの一言や接客サービスの笑顔に引き寄せられて来店してくれます。
このような流れを引き起こすためには、マニュアルよりも、起業家の志が大きな役割を果たします。政府の起業増計画に乗せられて、その他大勢で起業するのは止めた方が得策です。起業する場合は、あくまでもあなた自身が主人公です。
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