日本経済にとって、15年に渡って続いたデフレが終わってインフレになるか、デフレがまだ続くか、今は綱引きの真っ最中です。これまでの形勢は、インフレが首一つ優勢な感じですが、まだまだ長年続いたデフレの底力は侮れません。小金を貯めた多くの高齢者は、デフレの心地よさに感謝していますから。
建設や飲食店などでは、人手不足が深刻で給与の引き上げが続いています。人件費引き上げは、インフレの大きな要因の一つです。一方、全国のスーパーの販売価格はなかなか上げることができず、消費増税が実施されて以後も小幅に上下していて、上昇する気配はあまり感じられません。
海外からの輸入物価は、原材料費や原油価格など円安もあって大幅に上昇しています。政府は、インフレへの転換を図りたいのですが、中小企業経営者にとっては、材料高はマイナス要因で収益が減少する結果になっています。人件費と併せ、会社経営を厳しくしていることは確かです。
政府が発表する消費者物価指数は、14年4月が消費増税もありますから、生鮮品を除く指数で3.2%の上昇でした。1991年2月以来、23年ぶりの高い伸び率です。このペースで上昇して欲しいと政府は思うのでしょうが、障害となるのは高齢者の消費意欲です。
デフレ経済で日本経済を牽引していた要因の一つに、国民の金融資産の半数以上を占める高齢者の購買意欲がありました。起業する人の中にも、高齢者をターゲットにモノやサービスの販売を考える人が少なくないです。この高齢者の人たちが物価上昇を恐れて出費を抑えますと、景気が下降線を描くことになります。
デフレにおいては、カネの価値が上がりますから、高齢者の預金や公務員の安定に国民の注目があつまりました。一方インフレは、モノの価値が上がりますから、モノの売買をする事業経営者や起業家に利益がもたらされます。最後は、国民の心理が、物価上昇を望むか、下がることを望むか、ここが分れ道になります。
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