現代のビジネスはスピード第一と言われます。起業に関しても、明日からでも直ぐに役立つ起業のノウハウが重視され、ビジネスや起業の基本といわれるものは排除されがちです。題名一つとっても、「売れ筋商品」とか、「今儲かるアイテム」なんて言葉に直ぐ反応する人が多いです。
ただ、起業する人は肝に銘じておくとよいのですが、直ぐに役立つことは、直ぐに役立たなくなることが多いです。これは、わたしが云うのではなくて、小泉信三さんの言葉です。この直ぐ役立たなくなることを実感するのは、年間に千タイトル以上は売り出される、ビジネス書籍を見ると判ります。
これらの本の多くは、もっぱら目先で直ぐ役立つことを目的にした書籍ですから、売り出し当初はけっこう売れますが、1年間を通して売れる本は少しです。今ですと、消費税増税絡みの本や、デフレからインフレに変換するタイミングで悩むビジネスマンを相手に、売り出される書籍がほとんどです。
逆に、ロングランで売れる書籍と言いますと、「原因と結果の法則」(ジェームス・アレン)、「道をひらく」(松下幸之助)、「マネジメント」(ピーター・ドラッカー)と言った、直ぐには役に立たない書籍ばかり。これらの本を読んで、直ぐに新たな手を打つことは難しいです。ほとんどビジネスの基本的なことばかり。
ただ、このような書籍を読んでおくと、起業してからの長期戦にはとても役立つことばかり。ビジネスの大きな問題に対するヒントは、このような書籍を通して得ることが多いです。最近のわたしのお勧めは、「選択の科学」(シーナ・アイエンガー)、「不合理だからすべてがうまくいく」(ダン・アリエリー)など、人間心理をよく研究してビジネスに生かす術が書かれた本です。
開業を目前にしますと、どうしても目先の利益ばかりに関心が向きがちです。ところが、目先ばかりに関心が向きますと、本来自分が考えていたビジネスとは、まったく違った方向に向かっていることも気付かなくなります。目先と同時に、長期的視点でビジネスを考えていないと、役に立たない情報ばかりに振り回されることになります。
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