居酒屋チェーンのワタミは、1996年の株式上場以来初めて14年3月期決算で赤字を記録しました。しかも、営業店のうち、国内店舗の1割弱に当たる60店を閉店する大手術を敢行する予定です。格安で画一的メニューの居酒屋チェーンはワタミに限らず、大半の店が厳しい経営を強いられています。
その背景にあるのは、若い人のアルコール離れと言われ続けてきました。実際は、若い人ばかりでなく、年齢の高い世代でもアルコール離れは進んでいます。わたし自身が、20代、30代は、酒とバラと嘆きの日々でした。毎日、仕事が終わると飲食店で酒を飲んでいた一人です。
日経MJの調査によりますと、「外でお酒を飲む人の頻度」は、1週間に1日以上の外でお酒を飲む人は、男性が10.2%、女性は3.0%しかいません。「月に2、3日」にしても、男性16.2%、女性10.8%と、とても低い比率が現状のようです。休肝日などは死語になりそうです。
反対に、外ではまったく飲まない人が、全体で33%近くにまで達しています。現状は、アルコールとそのツマミ類を提供する居酒屋というビジネスモデルに、お客さんが集まらなくなっています。問題は、この傾向は一時的なものなのか、今後アルコールを提供するビジネスモデルが問われているのかです。
日本人の生活習慣の変化によって、ビジネスは栄えたり、廃れたりを繰り返しています。日本人の主食は米と言われながら、全国の米屋さんは減少を続けています。パンや麺類などの普及によって、米の消費は年々減少しています。家業の米屋を次ぐ人はいても、新たに米店を開業する人はほとんどいません。
居酒屋も、経営者の高齢化も進んでいます。ただ、これから居酒屋を開業しようとする人は、若い人でもそこそこいます。5年後、10年後に、居酒屋を開業することがどう評価されるのか、問題はこの点です。アベノミクスにも関わらず、国民の収入が減少していることは大きいです。また、健康志向が強くなっていることも居酒屋には向かい風です。
現在、最もアルコールを楽しむ世代も50代より上の世代です。好景気の時にはアルコールを飲む機会は増えますが、不況になると減少します。そんな環境を考えますと、利益の上がるアルコール販売ばかりに依存した飲食店より、食べることをメインにアルコールも出す飲食店の方が勝算はありそうです。
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