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『 日本版セールスレップの行方 』
米国で広く活用されている営業手法セールスレップをわが国でも導入しようと
いう動きが、経産省やNPO法人を中心に進められている。
経産省が9月に発表した、地域の身近な課題のビジネス化を支援する平成1
6年度『市民活動活性化モデル事業(市民ベンチャー事業)』には、中高年の知
恵と人脈が作るバーチャル経営体として、埼玉SOHO/MB支援ネットの『関東
セールスレップ組合』が選ばれた。
またNPO法人 e ラーニング推進協会は、10月にセールスレップと企業とを
結びバックアップオフィス事業を行う団体として『日本セールスレップ組合設立
準備室』を開設、セールスレップ開業(育成)セミナーをスタートさせた。
個人で営業活動をするセールスレップは、起業の目となる可能性が高く、ま
た地域企業の事業を円滑に進めるツールとしても注目を集めている。
セールスレップは鉄道や車の発達と共に全米に広がった個人経営の商品販
売代理人で、カタログや商品見本をバックに詰め込んで広い営業テリトリーの
小売店を駆け巡り、注文を獲得することを仕事としている。
彼らは、製造メーカーとの契約に基づいて売り歩くのだが、商品在庫を持つこ
とはなく、商品の受け渡しはメーカーと小売店の間で直接行われる。セールス
レップは、入金されたときに10%程度のコミッションを受け取るシステムである。
逆の見方をすると、米国のメーカーの中には、100人規模の工場要員に対し、
2,3人の販売要員は決して珍しくない。販売のアウトソーシングをセールスレッ
プが行っているのである。
米国では、このセールスレップを支えるための機能としてバックアップオフィス
が存在し、事務スタッフが契約書類の関連業務、顧客の与信管理などを行って
いる。また法的にも、独占禁止法にあたるロビンソン・パットマン法で、大型小
売店の横暴を規制する、販売価格の差別禁止などの保護を行っている。
− 最大の売りは豊富な情報か? -
わが国においては、このような販売活動をメーカーによる直販、販売子会社、
卸問屋、商社などが行ってきた。
しかし、1990年代後半以降、企業は守りの経営で事業縮小や人員整理を行
い、営業部門や販売子会社の統合、卸問屋や商社を通さず取引を行う「中抜
き」などによって、営業・販売を巡る人的能力は急速に低下している。
このところの景気の好転に際しても、営業力不足によって積極的な攻めの経
営に転換できない会社が多い。特に、地方の中堅・中小企業の中には、技術
先行で作った注目製品が、販売ルートを開拓できないばかりに在庫として滞留
している製品が多いと云われる。
セールスレップがわが国に根付くかどうか、長い時間を待たなければならな
い。しかし、わが国のビジネススタイルは、考える間もなくどんどん米国化して
いる。これまでの性善説に立った信用取引から、性悪説に立ったと思われるビ
ジネスライクなアメリカンスタイルの取引が幅を利かせつつある。
起業の世界からセールスレップを見たとき、メーカーや小売店に広い人脈を
持つ人、業界や製品情報に精通している人にとっては、新手法の普及に期待
をかけていいだろう。セールスレップの最大の売りは、小売店を一軒一軒回っ
て得る情報である。マーケティング活動がままならない中堅・中小のメーカー、
特に地方メーカーにとっては、貴重な情報提供者になれる。バラエティーに富
んだ製品群を扱うことによって、経営基盤の安定にもつながる。
また、バックアップオフィス事業は、いかに優秀なセールスレップを数多く抱え
るかによって決まるうえに、地域性や業界特性が生かされるので面白い事業を
展開できそうだ。現在、NPO法人によって組合組織としてビジネスモデル作り
がスタートしているが、この事業も起業の対象として興味深い。
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