「何故、勉強をしなければいけないのですか?」と教師に質問したことがあります。
先生の答えは、「人に騙されないため、人を騙さないため」 当時は誤魔化されたような複雑な気分でしたが、今になって考えてみると、先生の答えは意味が深く本当でした。
長年生きていますと、幾度となく人から騙されるような場面を出会ってきました。実際、小さな騙しには遇ったこともあります。ただ、運よく破滅に追い込まれることなく生きてきました。また、人を騙すほど追い込まれたこともありませんでした。
多くの人は会社や学校で重い問題に直面したとき、まずは「原理原則に従って考え、その上で全てを疑ってみる」方法で解決を考えるようです。事実を疑ってみることで、問題の本質が見えてきますから。
ところが最近は、古くからの原理原則が揺らいでいますから厄介です。例をあげますと、ビジネスを展開するのに必要な経営資源は、「ヒト、モノ、カネ、情報」とされてきました。
この発想は、規模の経済が幅を利かせていた20世紀には模範的資源でした。
21世紀に入って、ITを活用した分散型経済が発達したことで、個人や小規模事業体の役割が増して、今ではヒト、モノ、カネに拘ってばかりいられなくなっています。
ビジネスでの事業管理には、PDCAによる計画、実行、評価、改善を行っている人は多くいます。この手法も、変化が著しく激しくなると、ООDAの観察、情勢判断、決定、行動に移りつつあります。過っての原理原則は変わり始めています。
現代よく使われる原理原則は、「人のために役立つビジネス」や「目的を設定した上での実行」など抽象的に変化しています。
わたしが経営やトレーニングに関心を持つようになったのは、90年代後半に吹き荒れた企業倒産の嵐の時代です。それまで、メディアによく登場していた有力ベンチャー企業や中小企業が、次々と倒産するのをみて何故こうも簡単に倒産するのか、考え込んでしまいました。それが、現在のわたしの課題になっています。
長年勤めていた新聞社を希望退職した後は、学校に入って情報システムを学び直し、経営、経済、データ分析に重点をおいた学習を行っています。特に、行動経済学と出会ってからは起業相談やコーディネーターの仕事でレベルが上がっていることを実感しています。経済と心理学とを結合した行動経済の発想は、ビジネスマンや企業経営者として生きていくうえで役に立ちます。
起業を目指す人、新規事業を考える経営者の相談に乗っています。
ビジネス環境が大きく変化している今の時代、大事なことは少ない情報に頼って悩むよりも、多くの情報を集め戦略的に考えることが必要と思っています。
起業、新規事業からスタートしたわたしのビジネスは、10年を過ぎたあたりからビジネスに向けた人創りや問題解決、課題設定へと幅を広げています。失敗しないための人創りに今は注力しています。
一度しかない人生、少しでも人に役立てることができたら幸いと思っています。
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