起業を考える人にとって、社会環境や経済環境など環境変化に人一倍関心を払うことは重要なこと。
運送業で起業した人が、ここ数年来のガソリン価格上昇により事業を軌道にのせることが出来ず、廃業に追い込まれるような例はその典型で、起業の失敗には必ず納得のいく原因がある。
そして、今年に入って起業にとっての最大の環境の変化と云うと、農産品価格の上昇である。代表例はトウモロコシで、米国から輸入されるトウモロコシ価格は、06年8月との比較で現在は1.8倍になっている。
また、砂糖や牛肉の価格なども上昇がはじまっている。
この原因については、既に知ってる人も多いと思うが、米国のブッシュ大統領が今年1月の年頭の一般教書演説において、「今後10年間でガソリン消費を20%減らすことを目標に、その分をエタノールなど代替燃料に切り替える」と発言したことからはじまった。
北半球に位置する米国は、現在は農閑期で産物の生産はまったく行なわれていないのに、投機的な資金が既に農産品に流れていて、トウモロコシ価格の上昇を受け、トウモロコシが大量に使われる国内の家畜用配合飼料価格は1−3月期に1トン5500円、4−6月期3200円と値上が続いている。
また、ブラジル産サトウキビが大半を占めるグラニュー糖価格も、長年1トン当たり100円前後で推移してきたものが、現在は160円と60%も値上がりしている。
これらトウモロコシ、サトウキビに加えて、小麦や大麦などがバイオエタノールの原料として、代替燃料に使用される農産物である。
トウモロコシの値上がりは家畜用飼料の価格に影響を与え、牛、豚、鶏など食肉の値上がりを招いている。また、チーズや牛乳など乳製品の値上がりにもつながることになる。
コーンスターチが、トウモロコシの種の胚乳から得られるデンプンであることを考えと、ケーキの材料や食品、化粧品などに使われ、トウモロコシの価格上昇の影響は経済の広いシーンに及ぶと思われる。
コーンスターチは単なる一例に過ぎないが、飲食店や食品関係の企業では、材料費の値上がりがはじまったのに、ライバル店との競争が激しいために価格転嫁を行なえずに、厳しい経営を強いられている企業が少なくない。
これから起業を行なおうとする人にも、この環境の変化は他人事ではない。トウモロコシや砂糖、食肉などを多く仕入れる商売では、資金力のある会社にかなわないことは明白である。
この時期、材料の仕入れ価格上昇がはじった商売は開業時期をずらしたり、値上がり材料の代替となる商品を探したり、起業家としても何かしらのアイデアなしに開業することは危険だ。
まず、しっかり自分の業種の環境の変化を見据えて分析するとこで、これからはじまる急激な環境の変化に対応できるようにしよう。
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