人はよく後悔するとき、「あの時、株を買っておけばよかった」とか、「あの時、起業を思い留まっていたら」とか、あの時をよく口にする。このあの時とは、個人にとっての転換点であるが、同時に、国や世界の経済の転換点であることが多い。
わたしは、今現在が日本の経済の転換点にあるような気がする。
この前の転換点は、02年2月と云われ、誰も景気の底を打つ音を聞いた人はいないが、このときを境に景気は上昇が続いていた。
ただ、景気の上昇とはいっても、一本調子で高い成長率を示す上昇ではなく、蛇行を描きながらの緩やかな上昇である。
この景気の上昇が、2月27日に始まった世界同時株安によって、株価の大幅下落、円安から円高への切り替わりなど、経済環境が大きく変わりだした。
特に、長くわが国経済を痛めてきたデフレの終息感が出てきており、この夏以降はこれまでとまったく違った景色が、わが国を覆いそうだ。
まず、世界中に投機資金としての円を供給してきたわが国の金利が、夏以降に再び上がりそうだ。日本の景気が上昇していくとどうしても、米国のFF金利5.25%、EUの3.75%と比べて、日本の0.5%は低すぎる。
日本の金利は世界経済の不安定要因であるから、どうしても是正に走らざるをえない。金利が上昇すると云うことは、これから起業をする人にとって、ある程度の利幅が見込める商売でなければ継続が難しいことを意味してる。
また、日本の金利が上昇することによって、対外通貨に対して円安一辺倒だった為替が、次第に円高へスタンスを変えることになる。これまで、輸出業種が為替差益を含めて大儲けしていたが、これからは輸入業種も次第に利益が上がるようになってくる。相対的に輸出業種の利益は減少していくが、それでも対ドルで105円程度までなら十分利益は確保されそうだ。
この経済の転換点を経過することにより企業や業種においては、それまで大きな利益を生んできたビジネスモデルが、新たな展開では大きな利益を生むことができなくなる。
卑近な例では、武富士、プロミスなどサラ金業界は、グレーゾーンと云われる法定以上の高金利貸付によって、高い利益を上げてきた。昨年の法律改正が転換点となって、グレーゾーン金利が取り払われ、その上過去の貸付のグレーゾーン部分を利用者に払い戻す必要が発生したため、サラ金各社のビジネスモデルが一気に崩れてしまって、各社は存続の危機に陥ってしまっている。
逆の考え方をすると、サラ金における新しいビジネスモデルを構築できる起業家がいると、今はサラ金参入の最大の起業チャンスだ。
これは、サラ金に限らず、あらゆる業界についても云えること。低金利をいいことに、回転資金を借りまくって何とか事業を続けている老舗企業などは、早いうちに借金経営から手を引かないと事業継続が難しくなるし、輸出で利益が上がるのをいいことに、手を広げすぎているような会社は、早めに不採算部門の整理を急がないと、円高が一気に進んだときは取り返しのつかないことになる。
これまで順調にきていた会社が、転換点での対処を誤って、業績悪化、倒産の道を歩むのはよくある話。
わたしのように、この時期を経済の転換点と読む起業家の人は、これからが最大のチャンスである。早く、新たなビジネスモデルを探して、起業へと突き進む好機である。
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