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『ネットオークションと起業の関係 』
わが国で競売と訳されるオークションは、絵画や陶器など一部の業界を除くと
長いことなじみの薄い販売法だったが、ネットオークションの普及にともない急
速に身近なものになっている。従来の骨董品や美術品のホテルオークションに
ネットオークションを合わせると、1兆円市場に達していると云われる。
ネットオークション最大手のYahoo!オークションは、年間取扱高5600億円
を見込む。これは、丸井の年間売上高5650億円(05年3月期予測)と肩を並
べる金額で、ヤフーの全売上額おいても27%約200億円にのぼる事業の柱
の一つになっている。
わが国では、1999年にYahoo!オークションが事業を開始、ビッダーズ、楽
天フリマの3社が大きなシェアを占めて市場を形成している。
米国では、「世界で最も価値の高いインターネットブランド」と評価の高いイー
ベイが、世界を相手に1億1400万人の登録会員、約3500億円の売上高(04
年通期)をあげている。
今年8月には、東京都が税金滞納者からの差押え品を、公的機関では初め
てネットオークションで公売するなど、幅広く利用されている。
初期の出品者は、家庭内の不用品を整理のために出品する人がほとんどだ
った。ネットオークションでは、法律で所有や販売が禁止されているモノ以外な
ら、新品でも中古品でも何でも出品対象になる。
自動車、家電・PC、生活間連用品、不動産、ブランド品などカテゴリーに分か
れており、靴や衣類などのようにサイズが重要な商品は、売れ残りやすい商品
とされる。
一方、IT 家電やPC、ゲームソフト、食器などは、ネットと相性によい商品とし
て人気も高い。また、古書やレコード、アニメなどのコレクターズアイテムは、熱
心な顧客の支持を集めている。
ネットオークションへの出店は、商品管理、Webページでの写真による展示
法、キャッチコピー、入金の迅速なチェック、丁寧な発送、アフターサービスな
ど、一連の流れは起業そのものである。また、商品を購入した顧客によるユー
ザー評価もあって、売り手にとってブランドの役割を果たしている。
− 先行者利益を得るチャンスも十分 -
Yahoo!オークションでは、月商300万円以上を法人扱いにしているが、そ
の数が増えて現在は約1割を占めるまでになった。ネットオークションが本格
稼動して5年、その取引内容は、個人ユーザー同士の「CtoC 」型売買から、
法人が個人ユーザーに販売する「BtoC」型へ変貌を遂げ始めている。
これまでの出品者の商品は、自宅、フリーマーケット、製造業者や卸売業者、
そしてネットオークションからの仕入れがほとんどだったが、法人の参入の拡
大によって、過剰在庫品や売れ残り品、新製品の価格設定の目安作り、顧客
の名簿作りなど、さまざまな商品販売の活用法が考えられる。
ネットオークション市場がそのまま、現実の市場の様相を呈し始めている。
ただ、現実の市場と比較するとネットオークションには、起業をスタートさせる
ための準備機能が多いことに気づく。
インターネットへ接続できるインフラが整備されていると、全国どこからでも市
場に参入でき、同時に全国どこの参加者にも販売できる。商品によっては、米
国のイーベイにも出品が可能で、その際は欧州、中国なども商圏にできる。
店舗の代わりに商品の発送拠点が必要だが、そこでの作業は自分の都合
のよい時間に出品やその準備をするとよい。そのため、ネットのできないオー
クション出品希望者、家財の処分をする人など向けに、ネットオークション代行
業も注目を集めている。
わが国のオークションユーザーはまだまだ少数派で、市場の拡大余地は大
きい。これから市場に参入しても、先行者利益を得るチャンスはまだ十分にあ
る。
ネット化のほとんど行われていない業種や商品をリアルからネットに移すこと
によって生まれる転換差益、地域差益、コレクターズ差益などギャップが生み
出す利益は大きい。また、リアルで商品の販売を行っていて、平行してネット
オークションに参加する手もある。
この世界では、魅力ある商品をいかに安定的に供給できるかに最大のポイ
ントがある。上手く供給先を見つけることができたら、起業の手始めにトレーニ
ングとしてネットオークションに参加する手もある。
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