このところ、不二家による使用期限切れ牛乳を使った生菓子製造に端を発した一連の品質管理問題や、パロマの瞬間湯沸かし器の不正改造によるガス中毒死の多発、三洋電機では洗濯乾燥機からの出火事故など、大手の同属会社では不祥事が頻発している。
マスコミによっては、同属経営の本質のところで、不祥事を未然に防ごうとするセキュリティーシステムを阻む体質が、あるのではないかと云った論調のものまで目立つ。
これから起業をしようとする人は、そのほとんどが同属経営を考えていると思うが、果たして同属経営には不祥事を起こしやすいDNAが存在するのだろうか?
昨年、米国のハーバード大学やスタンフォード大学では、同属経営には他人同士の出資による企業経営にない優れた利点があって、米国では大きな成果を上げているとして、MBAとは別の同属経営プログラムを作ってその優れた利点の研究を始めたほど、同属経営への評価は高い。
米国では、その昔は会社名にBROTHERS の付く会社が数多くあって、兄弟や親子の同属会社は当たり前だったが、最近は急速に少なくなっているようだ。
日本も兄弟で起業する会社は最近減っているが、夫婦による起業は圧倒的に多い。米国では、離婚が多いために夫婦起業が少ないのと対照的である。
わたしは、起業にあたって同属経営は基本と思っている。その理由は、起業から数年しか経っていない零細時期に、廃業や倒産した原因を調査した研究が公になっていないが、実感として社員の遣い込みが原因と思われるケースがとても多いからである。
廃業や倒産の原因として事業資金がショートしたと建前では云っているが、その内実は売上げ不振でも貸付金の焦げ付きでもなく、会社の事務員が会社の資金を遣い込んでいたというような例が多い。
ほとんどの起業家は設立当初は経営の素人に近いので、資金繰りには大変な神経を使うが、資金の管理に関してはほとんどの起業家があなた任せになっている。銀行通帳や印鑑を、経理の若い女の子にまかせっきりの会社も決して少なくない。日本人特有の、あなた任せの依存心がここでも顔をだしている。
後から考えると、こんな危険なことはないのだが、日々の売上げに追われていると、知り合いの知り合いの伝手で雇っているほとんど素性の知らない事務員に、会社の資金すべての出入金をする銀行口座を、任せきりにしている会社は本当に多い。
同属会社と云っても、起業したばかりの会社と、100億円以上の売上げを上げる社会的な責任のある会社では、根本的に同属の意味が違うような気がする。
起業家の場合は、自分の会社のセキュリティーの意味からも、会社のお金を持ち逃げできない身内の人間に金庫は任せて、安心して仕事ができる環境を作っておくべきだ。
起業の場合、安全の上にも安全を考えて商売をしないと、たった一度の社員の遣い込みによって会社が倒産するような例は、いくらでも全国で起こっている。自分の会社だけは例外などとは、考えないことだ。
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