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『 未開の安全・安心ビジネスを探る』
このところ、世間を驚かす凶悪犯罪が相次いで発生している。わが国が世界
に誇った安全神話はもう存在しないのだろうか。
内閣府が行った「治安に関する世論調査」によると、わが国が安全・安心な
国と思わない人は、東京23区や政令指定都市に住む人で57.8%、その他
の市町村に住む人で50.9%と半数以上に達している。
また、この10年間に治安が悪くなったと思う人は86.6%、自分や身近な人
が犯罪に遭うかも知れない不安を感じる人は80.2%にまで高まっている。調
査では、約半数のひとは、「自宅に入る空き巣」や「すり・引ったくり」などの被
害に怯えているが、そのような軽い犯罪で済む保障はどこにもない。
2002年、交通関係を除く一般刑法犯罪は285万件だった。
前年より4.3%増加しており、96年から7年連続で戦後最多記録を更新して
いる。この傾向が続くことはあっても、現状では犯罪が減るとは考えにくい。
また警察による犯罪検挙率は20.8%で、こちらは増える犯罪数に反比例し
て低下するばかりである。この検挙率の中には、自首による検挙も含まれてい
るため、警察の捜査による検挙数はもっと低い。
経済のグローバル化によってわが国企業は多くの外貨を手にしたが、カネや
モノと一緒に外国人犯罪の増加をも招いた。また、国民の間には所得格差の
拡大も進んでおり、人心の荒廃や人間関係の希薄化を招いた結果、低年齢層
による犯罪増加にも大きな影響を与えている。
ネット社会の出現による、犯罪への誘惑も多い。
わたし達の社会環境は、日増しに悪化の方向に速度を上げている。安全神
話は消えると同時に、水や空気と同じように、安全・安心も自分で入手する時
代に来ている。
− 安全は個人が守る時代 -
今年7月、埼玉県草加市で発生した交番前暴行の警官見て見ない振り事件
は、われわれが一方的に信頼してきた警察の現状を象徴的に物語る事件だっ
た。多発する事件に警官は疲れきって、その士気は下がりつづけているし、悪
化する一方の財政で、国も自治体も警官を大幅増員する予算がない。
否応なく安全・安心は個人で守る時代に入っている。
最初に注目されたのが、ピッキング防止用ロックや防犯窓ロック、防犯センサ
ーライトなど家屋への侵入を防ぐ機器だった。その後は、監視カメラが企業向
けも含めて年間3千〜4千億円の市場に成長し、催涙スプレー、スタンガン、
防犯ベルなど護身・防犯用品も高い売れ行きを示している。
関心を示しているのはハードばかりではなく、空手道場や護身術教室、ジム
の格闘技系など、安全・安心と健康を組み合わせた地域の体育施設も人気を
よんでいるし、損害保険会社も安全・安心を取り込んだ商品販売に力を入れて
いる。不動産会社も犯罪発生マップを利用した売り込みをはじめて、安全・安心
が住まいのキーワードになりつつある。
今のところ、安全・安心を売り物にした起業は、護身用品や防犯用品のネット
販売や、ストーカー対策の探偵・興信所で見受けられる程度で、そのニーズと
比較すると供給側の体制は整っていない。
ここから先は自分もよいアイデアを持っていないが、ネットによるショップと併
設のコンサルティングや地域に根を張ったコンサルティングなどが突破口にな
るような気がする。安全・安心を商売にする以上、起業する側は信頼される人
間でなければならないし、そのためには弁護士事務所との提携など方法は色
々考えられる。
警察関係や警備関係の退職者にとって、ノウハウを生かせる起業であるし、
これから起業の引き出しを作ろうと考えている人にも、安心・安全は魅力いっ
ぱいの市場である。
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