若い時から、自分の人生を起業に賭ける人がいる反面、成り行きから起業につながり上手くいっている人もいます。学生時代はほぼ引きこもり状態で、ゲームばかりに精をだしていたHさん。
たまたまバイトをしたのが靴の修理店だったことから、否応なしに靴の世界にのめり込みました。20歳で靴修理チェーン会社の店長を任されるまでになりました。
ラジオでのインタビューによると、接客することは苦手だったようですが、お客さんから預かった靴を直す作業は、時間の過ぎるのも忘れるほどはまってしまったようです。ゲームにはまった時代と同じです。
そのうち、チェーンでの簡単な修理だけでは飽き足らなくなり、本格的に靴修理の技術を学ぶ教室に通いだしました。2年間かけ一応の技術を身に付けると、今度は自分のスタイルで靴修理を行うビジネスにステップアップしました。
当初はどこにでもある少し腕のよい靴修理店でした。この事業展開のなかで気付いたのがスニーカーの特殊修理です。スニーカーはその用途や構造から、安い接着剤で靴底を張り付けてあります。
接着剤が安価なため、一定の年月が経ちます間違いなくスニーカーの靴底はボロボロになります。まったく履いていないスニーカーであっても、接着剤の劣化によって靴のカタチが変わります。
そこでHさんは、靴底のスニーカー仕様を登山用に切り替えました。スニーカーを長期間履いていることが可能にしました。しかもそれを、インスタグラムでアップしたところ世界から改造の注文がくるようになりました。
今では、都心の青山に店舗を移し、約2カ月先までの注文を受けて仕事をしています。スタッフも雇って、ほとんど広告を出さずに世界からの注文に応じきれない状態といいます。
イノベーションというと同じスタートアップ企業でも、それなりの組織によって創られるイメージがあります。靴底の素材と接着剤とを創り替えるイノベーションですが、靴所有者には掛け替えのなりビジネスなのです。
追伸
Hさんが事業を軌道に乗せた大きな要因は2点あります。一つ目は、靴修理という自分のビジネスの舞台を設定したこと。二つ目は、日ごろのビジネス展開の中から、スニーカーの補修というイノベーションのきっかけを見つけたこと。スタートアップの最初に全てが見えるわけはありません。自分でステップアップを続けながら、強いニーズを見逃さないことです。
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