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『近未来通信に未来はあるのか?』

平成17年10月25日

 通信ベンチャー「平成電電」の突然の経営破綻で、急に注目を集めているのが、同じ通信ベンチャーの近未来通信だ。


 自らの通信設備を保有する第一種通信事業者の平成電電は、固定電話サービス「CHOKKA(チョッカ)」を2003年から展開、顧客契約の採算ラインと云われる100万回線を大きく下回る約15万回線の顧客しか集められず、05年10月17日に民事再生法の適用を申請している。


 平成電電の破綻では、同様の平成電電を名乗る(資本関係はないとされる)2社が、予定基準配当年10%のファンドを約2万人から総額490億円集めていたが、返済困難になって大きな問題となっている。


 一方、近未来通信もIP電話中継局オーナー募集で多額の資金集めをしていて、互いに全国紙での大々的な広告が話題を呼んでいた。


 近未来通信がIP電話事業をスタートさせたのは、98年から。この時期、米国で誕生したIP電話技術を導入する第二種通信事業者の千代田産業、TVS、国際総合通信など続々とサービスを開始したが、現在まで残っているのは近未来通信だけだ。現在、初期投資が国内中継オーナーで8回線1132万円、当初は維持費が月々約30万円を4、5カ月支払って、中継局800回線の契約が埋まって初めて月80万円の利益がでる仕組みで、投資資金の回収が完了するには約3、4年はかかっている模様。本社から送られる月次レポートによって、毎月の中継局の収支を知ることになるが、近未来通信の説明で最高数値として云われる月80万円に達している人はほとんどいないようだ。


 ただ、同社のスーパーネットは携帯電話から携帯電話への接続が安かったり、プリペイドカードで公衆電話から海外通話が可能なところから、韓国、ブラジル、中国、フィリピンなどの外国人に多く利用されていると言う。


 7年前は確かにIP電話は、ベンチャービジネスの要素がとても強かったが、現在はNTTまでがひかり電話としてIP電話を導入する時代。まったく同じビジネスモデルを引きずったままでは、環境の変化に取り残されてしまう。


 通信業界は特に変化の激しい業界なので、近未来通信が現在のままで生き残ることは難しいだろうと言うのが第一の不安だ。


 ただ、中継局オーナー募集だけを主要業務をしてやっていくならそれも可能になる。フランチャイズチェーンの中には、加盟店から定額制のロイヤリティーを徴収し、顧客集めよりは本部と加盟店との資金のやり取りだけで、詐欺紛いの事業を行なっているところもある。ここで共通しているのが、起業情報誌などメディアへの大型の広告だ。05年7月期の売上高181億円を除くと、近未来通信の財務内容はまったく公表されていない点は第二の不安。


 そして、「中継局オーナー」や「起業家へのファーストステップ」など通信回線の権利をあたかも実態があるように装ってはいるが、通常この種のビジネスは投資と呼ばれている。


 もし、本当に起業と云うならば、起業家は集客のためにアイデアを出したり、事業展開を行って収益に結びつける。お金を出すだけで何もせずに収益を期待するのは、投資、もしくは投機である。近未来通信の起業とは、単に投資ではないか言う点が第三の不安。サーバー数台があれば、十分通信にはこと足りるのに、海外中継局として大型ビルディングの写真を載せる手法が全てを暗示している。


 最近は、全国紙で全面広告を打つことがなくなった点も気がかりである。もしあなたが、これから近未来通信のオーナーとして起業を考えているならば、一千万円以上に及ぶ高額の投資に踏み切る前に、投資額の幾分かのお金を起業相談に振り向けて、投資のリスク度合いを確認する方法もある。起業にとって、リスクは付き物なのだから。



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