「秘密の隠れ家」をコンセプトに、一般には知られないように営業していた大阪のバーが、グルメサイト「食べログ」に勝手に掲載されていたことで、営業妨害と訴えました。秘密でもなんでもなくなりますし、秘密を楽しんで通ってくれているお客さんが、店に来てくれなくなります。
バーを経営している会社は、食べログを運営するカカクコムに対し、ネット情報の削除と330万円の損賠賠償を大阪地裁に訴えました。この秘密の隠れ家は、2010年から営業を開始していて、看板はなく、お客さんも入口でインターホーン越しに、鍵を開けてもらう仕組みです。
昨年夏ごろから、この店の情報や写真が食べログに掲載されていることが判明。店側は慌ててページの削除を求めましたが、食べログは表現の自由などを理由に拒否したようです。一見、タダでお店を紹介してくれるということで、食べログや「ぐるなび」は経験の浅い飲食店経営者に歓迎されます。
10年には佐賀市で飲食店経営者が、食べログを訴える裁判が起こっています。このときは、食べログ上に掲載された情報が古いもので、現在のお店とは違うことを理由に掲載削除を要求していました。その後、この裁判の後追い記事は出ていないようです。わたしの推測では、掲載は止めたと思われます。
食べログにしても、ぐるなびにしても、お店から掲載拒否が続出しますと、経営の根幹に関わることになります。そのため、建前上は掲載を止めるとは言いませんが、現実的対応として掲載を止めざるを得ないとようです。続々と裁判を起こされると、サイトの信用に関わることになります。
タダでお店の紹介というと、どうしてもありがたいサービスと思いがちです。飲食店のような接客、店内の雰囲気、お店の居心地といった無形のサービスを他店と比較されるのは、プロのサービスを無料で換算するのと似ています。わたしの知っている店でも、無断で紹介されることに気を悪くしている経営者はいます。
これからの飲食店経営では、一般にはあまり知られていないお店に価値がありそう。マスコミで紹介されるたびにどっと押し寄せる一見さんより、長い付き合いのお客さんを相手するビジネスの方が、質の高い経営が可能になります。話題や価格ばかりを気にするお客さん相手のビジネスは、結局は長続きしません。
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