現代の日本人は、良しにつけ悪しきにつけ、アメリカ社会をモデルにした社会作りをしてきました。他人より少しでも目立つことが大事であり、自分は人よりも何かしら優れていることを自慢に思っています。自分が、自分がと、人より前に出ようとする人間が増えています。
昔からの日本人は、こんなに人より前に出たがる、パフォーマンスを求めるヒーロー主義だったでしょうか、もう少し控えめで、それでいて強い意志を内に秘めた人間だったのでは。最近わが国で、デンマークの作家 アクセル・サンデモーゼが1933年に発表した小説の中の架空の街が注目を集めています。
「ヤンテの掟」と言われる住民が守るべき掟の話です。「自分を特別と思い上がる事なかれ」、「人より善良と思う事なかれ」、「人より賢いと思う事なかれ」、「優秀だと自惚れるなかれ」、「人より知識豊富だと思うなかれ」、「自分以上の人間はいないと思うなかれ」、「何でもできると思うなかれ」
「他人を笑うなかれ」、「他人の優しさに期待するなかれ」、「他人に何か教えられると過信するなかれ」の10の掟からできています。人より目立つことをしない考え方で、古くから日本社会で言い伝えられた考え方に似ています。弱肉強食で、拳銃で自分を守るアメリカ型の考え方とは正反対です。
何故、この思想が注目されるかと言いますと、米コロンビア大学地球研究所が、世界156カ国で2010〜12年に調査を実施した、国民の幸福度ランキングの結果からきています。「ヤンテの掟」から強く影響を受けたデンマークが1位、ノルウェーが2位にランクされているからです。
反対に、米国は17位、日本は43位ですから、人よりも目立とうとするヒーロー主義は、決して多くの人の幸福には結びついていません。ビジネスにおいても、強欲資本主義と呼ばれるアメリカスタイルが、経営者や従業員の幸福と結びついているのか、考える必要性がありそうです。
アメリカスタイルとは、金融業者がビジネス世界を支配する仕組みのようです。資金が豊富にあることで、何でもできると錯覚している人が、アメリカにも日本にも大勢います。この考え方が、何度もバブルを招き、多くの企業倒産の元凶にもなっています。起業を考える以上、自分はアメリカスタイルの経営を目指すのか、「ヤンテの掟」型か、考えてみてください。
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