問題は、全国の冠婚葬祭互助会だけの騒動で済むかどうかです。平成25年1月大阪高裁が、大手互助会セレマに対し、会員の解約手数料が不当に高すぎるとして、「解約条項は無効」を言い渡しました。大半の互助会は平均して、積立金の約20%もの解約金を徴収して利益を上げてきました。
セレマのケースですと、月々2500円の積み立てを200回支払うコース(総額50万円)の場合、支払い1回目から9回目までは解約しても1円も戻りません。10回目で戻り金が350円。満額の50万円を積み立てて解約すると、約7万2千円が解約手数料として互助会に取られることになります。
似たような裁判は、平成25年7月にフランチャイズでの「まいどおおきに食堂」でも起きました。最高裁が、東京高裁の判決を支持した裁判です。既存の加盟店の損益計算書とは違う計算書を加盟希望者に見せ、いかにも利益が上がっているように見せる勧誘行為も詐欺としました。加盟後の経営指導義務に関しても、専門的知識のあるスーパーバイザーを派遣することなく、若手社員だったことから債務不履行としています。
どちらの裁判にも共通しているのは、本部と加入者との契約において、本部側が勝手に作成した契約書の条項を無効としています。これまでは、不合理であったり、納得のいかない契約なら、加入者は事前に拒否できるとされてきました。そのため、裁判において、ほとんどの裁判で加入者は敗訴してきました。
現在、契約に関する民法は、明治時代に作成した法律が今も生きています。そこで、法制審議会民法部会において延々と会議が続けられていますが、法律改正よりも前に裁判所の判断が現実に即した判断を下しています。現在の流れでは、セレマが最高裁に訴えても勝ち目はほとんどないと思われます。
今後、ビジネスにおいて契約を結ぶ必要のある人は、今の流れを念頭に入れ負けるような契約はしないことです。改正貸金業法によって、過払い金の払い戻しが実施されましたが、フランチャイズ加盟店や冠婚葬祭互助会会員などから、本部への提訴も増えそうな気配です。互助会本部ばかりでなく、他のビジネスにも影響を及ぼす判決です。
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