政府と日銀が共同声明を発表し、日銀が2%の物価上昇率目標を導入して、早期の実現を目指すことになりました。政府も、規制改革や成長戦略などで成長力強化に努めるとしています。掛け声ばかりだったデフレ脱却に向け、政府と日銀が具体的に動き出すことを公表しました。
ただ、1999年から始まった物価の下落は06〜08年を除く、10年間に渡って続いています。これまでの1%の目標値でさえ実現しなかったのに、いきなり2%上昇が実現するとは思えません。ただ、目標達成は無理にしろ、物価が上昇に転ずる可能性は高くなりました。
一つには、日銀の一層の金融緩和を受け、円安が進行していることです。1ドル90ドルに近くなって、街のガソリン価格が上昇しています。輸出企業にとっては追い風ですが、国民にとっては輸入物価が直撃します。原油や農産物、食料、鉱物品など、値上がりする品目が目白押しです。
もう一つは、平成26年4月から消費税が5%から8%に、27年10月からは10%に上がります。消費税増税に伴い、便乗値上げする商品が数多く出てきますから、物価は間違いなく上昇すると思われます。その上、今は冷え込んでいる消費者心理も、安いうちに買っておこうと消費に滑車がかかります。
このような背景がありますと、今年の後半以降は徐々に物価上昇が始まりそうです。もし物価が上昇しますと、最も打撃を受けるのは、現在わが世の春を謳歌している安売り業者の人たちです。実店舗でも、ネット販売でも、安い価格で売っている事業者は商品が集まらなくなります。
現在、赤字経営を続けている会社も、仕入れ値が上昇するため、資金繰りが急に厳しくなります。そのため、経営の立ち行かない会社も相当数出てきます。中小企業金融円滑化法によって救済されている会社の中には、いよいよ厳しい局面に立たされる会社が、全国的にどっと生まれそうな気配です。
消費者物価の上昇に関して、キーを握っているのは、企業の従業員向け収益配分と消費者の購買意欲です。多くの会社が社員の給与を上げますと、社会の雰囲気は大きく変わります。そのときは、起業家にとって新たなビジネスチャンス。デフレ経済のビジネスにどっぷり浸かっていた既存企業に代わって、インフレ型の新たな企業が活躍するときです。
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