プロ野球の世界には、勝利の方程式といわれる勝ち方の仕組みがありました。元巨人軍監督の長嶋茂雄さんが言い出した、試合終盤になって中継ぎ、押さえの、予め決められた投手の投入のことです。方程式と言うほど、難しい計算式でないことは確かです。接客ビジネスにおいても、似たような計算式があります。
忘年会シーズンですので、足し算のビジネスから紹介します。飲食店においては、忘年会向け基本料金が設定されています。5人以上の団体で、アルコールと鍋物、料理がついてお一人様3000円などの年末向け特別価格のことです。基本料金の他に、ワインとか、ふぐ刺しなどを個々にプラスすることができます。
多くの忘年会は、このような足し算のビジネスによって、価格の安さを売り物にしています。最初の基本料金を安くすることで、お客さんは飛び付いてきます。追加の足し算に関しては、アルコールを飲んでのお客さんの判断です。気持ちが大きくなっていますから、追加注文で足し算をしても、計算が合っている限り文句は言いません。
反対に、最初の料金をどんと取って、その後のサービスは無料で対応するのが引き算のビジネスです。写真館では、七五三向けに総額3万円の料金で、着物姿と洋服、両親や祖父母との写真まで、一括して撮ってくれるサービスがあります。エステサロンで、最初からフルコース料金をとって、かゆいところに手の届くサービスもあります。
これまでは、足し算のビジネスが圧倒的な多さでした。価格が下がるデフレ経済では、幹の価格は安くしておいて、枝葉できめ細かく料金を取ることで収益を上げる仕組みが人気です。ここにきて、引き算のビジネスが注目されるのは、インフレ経済になって物価が上がりだしたとき、お客さんは引き算の方が有利と考えるからです。
90年代までは、オール込み料金が幅を利かせていました。今後の物価の変動次第では、再び引き算全盛の時代がきそうです。今は、変化の激しい時代です。頭を柔軟に働かせ、お客さんニーズに機敏に対応することが大切です。実際の損得よりも、お客さんに儲けたと思ってもらえるイメージを大事にしましょう。
ビジネスは心理学と言ったのは、セブン&アイ ホールディングスノ鈴木敏文会長です。お客さん心理は、離れたり近づいたり、読むのにたいへん苦労します。起業する以上は、いつもこの心理を読む努力が欠かせません。遂に読めるようになったと安心しても、次の場面ではまた離れているのが心理です。それでも、常に努力をしてないと最後は見放されます。
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