野球評論家の野村克也さんが、「その人間の価値や存在感は、他人が決めるのである。 人間は人の 評価で生きている。自分の評価より、 他人が下した評価の方が正しいのである」と言っています。わたしは、会社勤めをしていた時、この言葉に相当違和感を持ちました。自分のことは自分が最も知っていると思っていましたから。
会社を辞めて起業をしてから、この言葉の重みがやっと理解できました。会社時代は、自分を評価するのは、同僚、上司、相手企業担当者など限られた人間です。相当偏った評価もここでは通用します。起業しますと、評価するのはこの文章を読んでくれる読者のみなさん、起業相談を寄せてくれる人など、数千人以上に及びます。
何故かといいますと、評価をしてくれる人たちに支えられてわたしは生活しています。今は、会社時代の約束された収入と違って、わたしの起業論やマニュアルに興味をもってもらい、お金を支払ってくれる人たちの評価だけが頼りです。自分で自分のことを、相当優秀と思ったり、天才と思うことは勝手です。
ただ、自分の評価だけでは、人間生きていけないことに、起業して初めて気付きました。とても簡単なことのようですが、この言葉のもつ意味は相当深いと思います。特に、起業を考えている人は、自分のビジネスアイデアや自分の能力に対して、自分で評価する以外、当初は誰も評価をしてくれません。
そのため、密室での評価になりますから、どうしても甘くなりがちです。起業が失敗する原因の一つに、この自分への甘い評価があります。自分の頭の中では、たいへんなビジネスモデルと思われたものが、ビジネスコンテストに参加したら、どこのコンテストにもでるアイデアなんてことはよくあります。
一方、自分に対しあまり厳しい目で見ることをすると、起業自体が思い浮かばなくなるかも知れません。起業は、ある種の「思い上がり」があるからこそ考えることができます。この、甘い目と厳しい目の間で、いかに自分を客観的に見るか、起業コンサルタントはそんなためにある仕事のような気がします。
起業相談で自分評価を冷静に考えることも
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