わが国では、飲食業や小売業と比べ、まだまだ成長の余地が見込まれるサービス業。業種としては幅の広いサービス業ですが、日経MJでは2011年版サービス業総合調査を公表しています。全体の集計では、34業種の売上高が0.4%減と、16年ぶり減少を記録した昨年に続き、今年も減少しました。
業種別売上高で最も高い増加を示したのは、22%増の保育サービスです。全国的に約2万5千人以上の待機児童が今もいますから、当分保育サービスの伸びは続きそうです。保育施設が増加しないハードルは、保育士の不足です。一方、政府は公的補助で支援する幅を広げていて、参入する企業も増えそうです。
次に伸びが高いのは、在宅(訪問)福祉サービス。高齢化を背景に客数が依然増え続けています。ただ、こちらも人手不足が深刻で、56%の事業所はスタッフ集めに苦労しています。来年4月には介護保険法改正で、24時間対応や在宅と訪問介護を組み合わせた複合型サービスが登場予定です。
小企業の起業に関連したサービスでは、家事支援の伸びが高く、今後も高い成長が予想されています。また住宅リフォーム、葬祭業、学習塾・予備校、エスティックまでが、売上げを伸ばしているサービス業。将来性では、住宅リフォームが依然高い期待が寄せられています。
一方、売上げを減らしているサービス業も少なくありません。最も大きいのが結婚情報サービスで、12%近い減少になっています。一つには、結婚情報は料金が高く、適齢期年齢の人の収入減がハードルになっています。また、最近のSNSの大流行は、情報企業のサービスを利用しない人を増やす側面があります。
総合レンタル、引越し業、専門学校・カルチャー教室なども、売上げが減少しています。売上げを減らすサービス業の傾向として、必要性の薄いビジネスが上げられます。ここでも、いかにお客さんを創造できるか、古くて新しい課題はここでも大問題になっています。
日本の場合、時代のニーズに合わせたサービス業の誕生が多くありません。これだけIT化が進んで、人と人とのつながりが求められる時代。SNSを活用したビジネスや、古いビジネスにIT導入するような、仕掛けは色々考えられそうです。要はリスクをいかに低くして起業するか、ここで立ち停まってしまっています。
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