東日本大震災を契機に、急速に需要が増えた商品に自転車があります。首都圏では、大地震直後に帰宅難民が百万人以上もでました。公共交通機関が止まったためで、歩いて自宅まで帰るしか手段のない人が、慌てて自転車を買い求めています。
直接のきっかけは、このとき自転車の利便性が改めて見直されたことです。首都圏に限らず、全国的に自転車利用が増えています。長引く不況によって、自動車から自転車に通勤を切り替える人も大勢います。また、健康を考えて自転車の乗る人も増えています。
急速に自転車が路上に増えた結果、自転車と歩行者による交通事故が急増しています。そのため警察庁では急遽、歩道の道幅3メートル以下の道では、自転車は車道を走るように指導しています。また、自転車の両輪にブレーキを備えていない、ピスト自転車の公道での走行を禁止しています。
これが、売れ行き好調の自転車を巡る一連の流れです。ビジネスの視点で見ますと、自転車が売れる余地はまだまだありそうです。ただ、小企業が中国で製造される格安汎用品と競合しても、勝てそうにありません。非汎用品というキーワードで、考えてはいかがでしょうか。
都市部では駐輪場もビジネスチャンスがありそうです。既に、東京や大阪などでは、高額自転車を預かる駐輪場が誕生しています。そこでは、自転車だけでなく服や靴も預かる、ロッカーを併設しているところが多くなっています。
自転車レンタルは、古くから観光地などで営業していました。こちらは、現在も各地にありますが、思いのほか苦戦しているようです。全体的に観光地のPRはしていても、自転車レンタルに関しては知られていないケースが少なくありません。
そのほか、中古自転車の活用やメンテナンスもビジネスになりそうです。今後、自転車の市中での台数が増えてきますと、新たなビジネスが生まれる可能性が高くなります。環境にも、健康にも、そして利便性にもよい自転車ですから、起業の対象として考える余地は相当あります。
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