老人福祉施設の一つに、老人デイサービスがあります。65歳以上で障害のある人に対し、入浴や食事、機能訓練などを提供するサービスです。このデイサービスは収益が安定していて、しかもサービスに対して報酬が高いことから、人気の介護ビジネスとして知られています。
これまでは、都道府県が設立申請に対し認可をしてきました。平成24年4月以降の介護保険法では、制度の見直しが実施されます。認可が、これまでの都道府県から市区町村に切り替わる予定です。多分にキメ細かな行政指導が行われるはずです。
そのため、デイサービスの認可がこれまで以上に難しくなることが予想され、23年度中に開業認可をもらうため、駆け込みで施設を設立する人が急増しています。フランチャイズや介護コンサルタントが、設立を検討している人に対し、今年度中の設立を煽っています。
問題なのは、現在の高い収益が、来年度以降は報酬が引き下げられる可能性が高いことです。儲かるはずのデイサービスが、もう儲からないサービスに変わってしまう心配が高くなっています。公的な仕事には、このような制度変更がよくあります。
しかも、ほとんど介護に関する知識のない人が、儲かると言うことで、介護への参入を考えています。長い目で見たとき、介護に対する個人的な理念やメッセージのない人が開業しても、ビジネスを軌道に乗せることは無理です。そんな甘い世界ではありません。
最近は起業というと、収益さえ上がればどんな業種でも参入を考える人がいます。介護ビジネスの場合、収益が高いビジネスは狙い撃ちされて引き下げられます。この仕打ちに耐えられる人だけが、継続的にビジネスを継続できます。今のデイサービスへの参入は、危険極まりない起業と言うことになります
|