3年前までは、全国に4万店を超えるコンビニ店が営業していて、コンビニ飽和時代の到来と言われました。新たに出店する場合は、周辺に既にコンビニ店が営業しているのを承知で、お客さんを奪うことを念頭に入れた出店でした。
現在、コンビニ店は4万6千店にまで増えています。それでも、コンビニ大手の4〜6月期決算は、空前の好景気です。ファミリーマートは、過去最高益を記録していますし、セブン−イレブンもセブン&アイ・グループの黒字を一社で背負っています。
これほどコンビニ大手が好調ですと、起業を考える人の中には、コンビニのフランチャイズチェーン加盟へと方向転換を考える人が出始めています。特に、年齢が50代前後になりますと就職が難しく、起業するしか仕事のない地方も少なくありません。
ところが、コンビニ大手好調の背景は、今も以前も基本的にはほとんど変わっていません。おでんや唐揚げが好調というと、直ぐに他のコンビニ本部も追随する世界です。好調なコンビニ店があると、隣接する場所にライバル店が出店します。
決算が好調な理由は、乱立に近いカタチでの出店にあります。加盟店にとっては過当競争であっても、本部にとっては売上げは増え、利益も上がります。別に、既存加盟店の売上げが増えなくても、新規店が売れると本部の利益は大きくなる仕組みです。
その結果どのようなことが起こるかと言うと、2010年度 セブンの新規出店数939店、閉店数460店、ローソンは出店550店、閉店317店、ファミリーマートは出店741店、閉店270店といった具合です。
加盟店の収益で、アルバイトへの人件費や本部へのロイヤリティが支払えなくなると、閉店するしかありません。コンビニ本部が好調の陰には、加盟店の新旧の入れ替えがどんどん進んでいます。こんな情報を読んで、まさかこの世界に飛び込もうとする人はいないと思うのですが。
ビジネスにとって契約は欠かせません。この契約の根拠となる民法は、明治29年に制定されて以後、抜本的改正はほとんどされずにきました。フランチャイズビジネスなどは、本部と加盟店の契約が基本です。
今は、本部が自分に都合のよい契約書をつくり、加盟店は言いなりの状態です。コンビニ大手の大変な黒字は、加盟店の犠牲によって成り立っています。民法の改正によって、早くこの不平等を直してもらいたいものです。
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