今年5月、東京・上野に一人客専門の焼肉店が開業して話題になりました。一般に焼肉店は、グループでのお客さんを想定したテーブル配置になっています。一人のお客さんのためにコンロを用意すると、店側の活用スペースは狭まります。
2010年国勢調査の速報によりますと、現在のわが国の一世帯あたりの人数は、一人が最も多く31.2%にもなるようです。家族の単位と言いますと、従来は4人家族でした。それが、3人になり、2人になり、今は1人単位で考える時代です。
そのため、接客ビジネスにおいても、一人で来店するお客さんをターゲットにする時代がきています。そこで思い出すのは、旅館・ホテルのお客さん対応です。1960年代から高度成長期には、団体客ばかりを相手に大きな利益を上げた業界です。
2000年代になっても会社ぐるみやツアー客の団体客ばかりを想定している、旅館・ホテルの大半が姿を消しています。今の時代、家族や友人同士の少グループがお客さん単位の主流で、もはや大型の団体客は例外になっています。
先月、わたしどものスタッフが、上野の一人客専用の焼肉店に行ってきました。まず、客席数25席で全て一人客用に仕切ってあります。価格は、カルビ、タン塩など1枚250円で、ここもお一人さま仕様になっているようです。
決して安くはありませんが、質のよい肉だそうです。客単価も2000円近くになり、焼肉は放射性物質の汚染問題でお客さん離れは問題になっていますが、この店はそこそこお客の入りはようです。
今後、他のビジネスにおいても、一人客専門店が生まれる予感があります。若い人のなかに、一人で気楽な時間を過ごしたい気持ちが強いからです。この焼肉店はモデルケースになるのでしょうが、新たな業態のビジネスが生まれるか興味があります。
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