新しく誕生する鳩山内閣には、約70%近い国民が期待しています。これまでの、実感なき好景気と実感ばかりが強すぎる不況から脱して、好景気が実感できる社会の到来を国民は望んでいます。
そこで、政権交代を契機に、起業を考える人が大勢生まれそうです。
自民党から民主党への政権交代と云うことは、大企業の立場に立った効率的な経済運営から、国民・労働者の側に立ったキメ細かな経済運営へと政策の転換を意味しているからです。
そのため、経済のパイが現在の縮小から、拡大する方向に転換するときには、起業チャンスがこれまでになく増えると予想されます。
「これまでの社会の変化を利用した起業では」
現在、起業のターゲットと考えられているのは子ども向けビジネスです。
民主党の子ども手当ての増額により、学習塾、保育施設、ベビーシッターなどが起業に刺激を与えそうです。
ただ、ここで考えておきたいのは、これまで政府の施策によって起業チャンスが大きく広がったケースでは、どのような結果を生んでいるかです。
最近の数年を例にとりますと、新会社法の制定がありました。資本金が1円から会社の設立が可能になったのですが、このときは会社設立の手続きや印鑑、会社用備品の需要が高まりました。
そこで大きな利益を上げたのは、司法書士や街のハンコ屋さんなどです。新たに、会社法制定を考えて起業する人はほとんどいませんでした。
また、貸金業法の改正によりまして、消費者金融などからお金を借りた人には、金利の改正によって過払い金の払い戻しを行っています。
ただ、この場合も、既存の弁護士や司法書士に仕事が集中していますが、新たに資格を取得して起業した人には、ほとんど仕事は回ってきていないと云います。
「運転代行では多くが撤退」
飲酒運転のよる交通事故をなくするため、運転者厳罰化により自動車の運転代行ビジネスが注目を集めた時期もありました。
各地に、警察署から許可を受けた運転代行会社が生まれましたが、現在は撤収が続いています。業者の過当競争が当初の原因でしたが、今は不景気と酒を飲む人の減少によって、需要そのものが減っています。
このように、法律改正を契機に資金の流れが変わることはありますが、実際に利益を手にするのは、これまでその業界で汗を流してきた専門の人たちです。
新たに起業した人の知識やノウハウでは、業界の変化の流れに対応することは難しいようです。
特に、運転代行には、多くの新規参入者がいましたが、結局は従来からの業者だけが生き残っているのが現実です。
「起業では、他の人も同じことを考える」
今回の子ども手当てについても、結局は現在塾経営を行っている人にとって有利な手当てになりそうです。
これから、教室開業の準備をして学習塾を開こうという人には、収益が入る前に投資資金が出て行くばかりです。いざ、収益が見込めるまで準備が整ったときには、既に周辺の学習塾の勢力図が確定していることになりかねません。
多分、民主党政権の政策を基に起業を考えるとき、同じことを他の人も考えていると思うことが大切なようです。
このような他の人とのニアミスをなくするために、まず自分の得意とする分野で自分の土俵を作ることです。
この土俵抜きに起業はありません。その上で、社会の変化をその土俵上にどう取り込むことができるか、そちらを考えることで起業の大きな失敗を極力減らすことができます。
起業には、一にも二にも慎重でクールな思考が大切です。
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