世の中、不景気になりますと食べもの移動販売に注目が集まります。
勤め先の経営悪化が原因で離職する人が増え、次の仕事の一つとして少ない資金で開業可能な、移動販売による開業を考える人が増えるからです。
1990年代後半の不況の時も多くの移動販売が新規に生まれ、東京ネオ屋台村はこのとき誕生しました。既に知っている人も多いと思いますが、ネオ屋台村は一カ所に移動販売車を3台から10台近く集め、野外の食べもの販売集積を運営する会社です。
現在東京ネオ屋台村は、丸の内の東京国際フォーラムや大手町サンケイビルなど、野外に適度なスペースがあり昼食を求める人が集まるスポット、首都圏15カ所以上に出店しています。移動販売で開業した人向けに、サポートすることを目的にしています。
移動販売と云いますと、誰にでもできる簡易の飲食業といったイメージがあります。ただ、一度でも移動販売で飲食経験のある人なら理解できると思いますが、お客さんが集まっている移動販売は実店舗を構えている飲食店と同等、それ以上に美味しい食べものを出している店が少なくありません。
最近では、実店舗を出しているお店が、移動販売車を利用して新たなメニューの試験販売をしているところさえあります。
移動販売は、飲食業にとっての原型です。そして、飲食業を目指す人にとっては開業の第一歩です。食材の仕入れ、仕込み、調理、販売と、ほとんど実店舗による開業と同じプロセスをたどっています。
また、集客のためのメニュー選び、接客の仕方、出店のための環境作りなども、実店舗を開業する時とほとんど同じと考えて間違いありません。
ここで一つ質問です。起業相談でもよく聞かれる質問ですが、「起業で失敗しないためには、どうしたらよいでしょう?」
答えは、一度失敗することです。失敗経験は、どんな起業テキストやセミナーよりも多くのことを教えてくれます。ある程度、経営能力のある人だったら、2度目は上手く軌道に乗せることができます。
ただ、わが国では、1度起業で失敗すると2度と起業するチャンスが訪れない、と言った迷信が今もまかり通っていて、1度目の起業に身の丈以上の資金もエネルギーも使い果たすために、結局人生までボロボロにしてしまいます。
多分に、金融機関の中に再チャレンジを認めない風潮があるために、起業には2度目がないと吹き込まれていると思われますが、借金をちゃんと清算している限り2度と起業が出来ないことはありません。
そんな中で、開業資金が少なくて済む移動販売が注目されるのは、この失敗が許される数少ない起業だからです。
初期費用の負担が少ないこともあり、移動販売の場合は個人事業で倒産と言うより、自主廃業がほとんどです。また、開業にあたって借金をする人がいません。まだ、社会的に信用がない20代の人が中心ということもあり、自己資金だけで開業することがプラスに作用していると思います。
日本は、米国やアジアの諸国と比較して、子どもの時から起業に接する機会が極端に少ないのが特徴です。そのために、ビジネスパーソンとしては企業経営者にとって扱いやすい性格ですが、自分で起業する際にはあまりに経験値が少ないことが問題になります。
少し奥手ではありますが、移動販売を経験するなり、ビジネスのノウハウを学ぶなりしてから、飲食業での開業を目指して決して遅すぎることはないと思います。
食べもの移動販売での開業マニュアルです
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