このところ、福田首相の辞任表明や、大相撲力士の大麻事件、事故米の偽装流失など、テレビや新聞を賑わす出来事が相次いでいるため、マスコミは正面から取り上げていませんが、現在は大変な不況が進行しています。
景気の実態を最も肌で感じている、タクシー運転手や小売店店員の人たちの声を集めた「街角景気」の8月の調査によると、景気の現状を3か月前と比べた判断指数が、前月より1・0ポイント低い28・3となり、2001年10月(27・2)以来、6年10か月ぶりの低水準となっています。
01年10月というと、米国でNY貿易センタービルが倒壊した9.11が起こった翌月で、02年2月には「いざなぎ景気」越えと云われる、6年近い好景気のはじまりにつながる時期です。
現在は、この好景気の後にくる景気循環の不景気が始まっている時期であり、同時に米国発のサブプライム問題による金融不況も同時に進行しています。
自民党総裁選挙や、それに続く衆議院選挙でマスコミ報道からはブラインドになっていますが、国民生活の足元は徐々に狭まっているのが現実です。
このような時に、起業を考えることは自殺行為と云われるかも知れません。景気が悪いと云うことは、即、国民や会社の消費が減少していることですから、その中で新たに事業を始めて、新しいお客さんを獲得することは至難の業です。
常識的には、誰もがこの時期に起業することはないと言うことになります。
ただ一方では、景気が良くて普通に会社勤めができるなら起業など考えないが、勤めていた会社が倒産したり、リストラされるなどして、起業を考えざるを得ない人たちも大勢生まれています。
そこで、このような環境で起業するには、何が必要かと言うことになります。一言で云うなら「お客さん」です。既にお客さんがいる起業なら、ほぼ間違いなく軌道に乗せることができますし、成功することでもできます。
一例を上げますと、放漫経営だった会社が倒産し、そこのお客さんと従業員をそのまま引き継ぐカタチでスタートした起業は、ほぼ上手くいきます。
反対に優秀な技術やビジネスアイデアを頼りに、多分お客さんも納得して購入してくれるはずだ、といった見込みで出発した起業は苦労します。お客さんの心理が読めるようになったら、立派な起業家です。経営者です。
不景気になりますと、経済成長は止まったり、マイナスになったりしますから、ゼロサムの状態になります。経済で云いますと、あなたが起業をして売上げを増やすますと、同じ街にある同業者やネット上での同業者の売上げは、減少することになります。これが、ゼロサム経済です。
すると、あなたの会社が同業者からお客さんを奪うことのできる、商品やサービスを店頭に並べられることができるか、どうかです。同じ商品では、お客さんは簡単に購入先を変えてくれません。
ただ、現在のような不況で物価高の経済環境では、他の会社では扱っていない省エネ商品や、安い価格で提供できる代替品などならば、お客さんは購入先を代えてくれる可能性があります。
好景気時期には、ほとんど考えなかった購入先の変更を、現在のような不景気なときなら考える個人も、会社も出てきます。その意味で、現在の不況は新規顧客開拓の絶好のチャンスでもあります。
ただあくまでも、既存の会社が扱う商品やサービスとは違った商品があっての話ですから、その辺を良く考えて起業を考えるべきです。
不況のときに生まれた会社は、景気がよくなると良く育つとビジネスの世界では昔から言われています。
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