新年早々、株価の急落や景気見通しの不透明感から、暗い話題ばかりが目立つような気がします。特に、昨年は個人消費がまったく振るわなかったために、不景気の原因の一つとして人材派遣など、低賃金の雇用制度を槍玉に挙げる評論家やマスコミが増えています。
わたしのサイトやブログにも、現在は人材派遣に勤めていて、起業によって低賃金から脱出を考えている人が多く訪れています。
そのような人が、上手く起業を軌道に乗せれるとよいのですが、開業資金や起業スキルなどを考えると起業が厳しいのも現実です。
社会の批判が強くても、そう簡単に人材派遣制度がなくなったり、派遣社員に有利に変わるとも思えません。多分、日雇いでの派遣を禁止させるなど、部分的な制度変更が行なわれるでしょうが、短期間にあまり大きな変化を期待はしない方がよいと思います。
それよりも、人材派遣の先進国米国で一般的に行なわれているダブルジョブシステムを真剣に考えてみるのも手だと思います。
わが国では、ダブルジョブやダブルワーカーというと、アルバイトの掛け持ちのように捉える向きが多いのですが、米国では一つは、生活のための資金稼ぎとして派遣の仕事。もう一つは、本来自分が取り組みたかった社会に役立つ仕事、日本語では公企業の仕事と訳されている職業に就いています。
NPO(特定非営利活動法人)のことで、福祉、教育・文化、街づくり、環境、国際協力など、多岐な分野にわたって非営利で事業活動を行なっています。
人材派遣の場合、勤務時間を自分のために調節できる強みを活かして、NPO活動のために時間を割きます。決して高い収入ではありませんが、非営利と言ってもNPOからも給料はでます。
最初のうちは既存のNPOで仕事をして、そこで仕組みや運営方法を学んで、将来は自分の目的に合ったNPO設立が可能です。
人材派遣で仕事をしている人の場合は、起業に際してマネジメントの能力が弱みとなっています。そのため、多くの人は勝手の知った人材派遣での起業を目指す傾向があるようです。
ただ、派遣を受け入れている企業からのニーズは依然強いのですが、派遣する労働者を集めるために大変な資金と労力を使っているのが派遣業界の現状です。そのため、新規参入の企業よりも大手の派遣会社にニーズが集中しています。
誰もが安易に参入する手っ取り早い人材派遣で起業するよりも、時間は掛かって自分の好きな仕事に係われるNPOでのダブルジョブ経由での起業の方が、安全で確実のような気がします。
これは人材派遣で仕事をしている人だけでなく、契約社員やパートなど非正規の仕事をしていて起業を目指す人にも言えることだと思います。
大切なことは、単に起業の言葉に踊らされず、自分がどんな仕事をしたいのか、そのことを真剣に考えたうえで起業への道筋を考えてはいかがでしょう。
|