わたしたちが住む日本の刑事犯罪数は、平成18年版犯罪白書によると、戦後最悪だった14年をピークに減少はしているものの、戦後を通じてみると相当高い水準にあるそうです。しかも、社会の安全を脅かすこれまでの経験では想像できない犯罪が、多発しているところに怖さがあります。
佐賀県武雄市の病院で発生した入院患者射殺事件などはその典型です。病室にヤクザが入り込んで、同業のヤクザと間違えて市民を拳銃で射殺した事件は、これまで廊下に表示されていた患者の名札が個人情報保護法によって外されたために、人違いで殺されました。
そのため、今後はこの病院では警備員を常駐させることにしたようです。
新たに開発された高級住宅地の中には、最近よく起こる子どもの連れ去り事件に対抗して、一定の決まった時間には警備員を配置しています。
新しくできた住宅地では交番から離れていますし、最近の交番には警官が不在の交番も少なくありません。刑事犯罪の発生に対して、警官だけを頼りにした時代は終わっているのかも知れません。
また、都心に建てられる億ションと呼ばれる高級マンションでは、警備員が24時間体制で館内の警備にあたることが常識化しています。
自分たちの安全は自分たちで守る発想が、全国的に広がってきました。今では、ショッキングな事件が発生するたびに、警備員の需要が増えると云っても云いすぎではないと思います。
警備会社では、セコムと総合警備保障の2社が圧倒的な規模の大きさを誇りますが、経営効率を高めるためにIT化を進めた結果、利益幅の大きな電子警備に重点を置いています。
今需要が高いのは、現場に警備員が立つことで未然に犯罪の抑止効果が期待できる古典的な警備です。
このギャップが、新たな起業チャンスを増やしています。街を歩いていると分りますが、郵便局の前、スーパーや量販店の駐車場、学校の校門、工事現場など、昔とは違って格段に警備員の数は増え続けています。
最近は、ショッピングセンター、スーパー、量販店、地下商店街などにも、万引き対策専門の警備員が配置されています。
はっきり云って警備需要は、この5年ほどで急速に増えていますし、これからも増え続けると思われます。
警備会社にとって有利なのは、この社会的な需要増だけでなく、急増している人材派遣会社と競合することがない業種だからです。人材派遣会社は、警備会社へ人を派遣することが法律で禁じられています。
その分警備会社には、警備に関しての資格の取得や人材の教育など会社設立にあたってハードルは高くなっていますが、ビジネスとしては将来性があり遣り甲斐があります。他の業種と比較するととても倒産の少ない業種でもあります。
警備会社での起業はあまり話題になりませんが、地道でしっかり社会観念を持っている人なら、一度考えてみる余地は十分あります。
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