わが国の外食産業の06年度は、来店客数が横ばいのなか、一人当たりの客単価が上昇して売上高は05年度に引き続きプラスとなった。
また、大手外食企業100社の売上高は業界全体の19.5%に達し、市場の寡占化もジワジワと進行していることが、日経流通新聞の飲食業調査によって鮮明になった。
そんななか、今回の調査で最も注目を集めたのが、全国で直営240店、フランチャイズ(FC)411店を展開するフジオフードシステムの「まいどおおきに食堂」である。
「まいどおおきに食堂」とは略称で、通常は「江戸日本橋食堂」や「新大阪食堂」と云ったカタチで、お店の所在地の地名を冠にした店名をつけている。
メニューは一般家庭の食事の献立がそのまま並んでいて、客単価も約650円と特別安いわけでも、高いわけでもないが、売上げ伸び率は群を抜いてる。
一見したお店の作りは「3丁目の夕日」を思い出せる昭和の匂いがしており、外からガラス越しに店内を見渡すと、大きな釜でご飯を炊いている光景が見える仕組み。炊き立てご飯へのこだわりをアピールすることによって、ご飯好きのファンを増やしている。
前年度に比較して、出店率で62.8%、売上げで52.3%も増えていて、今が旬のフランチャイズ飲食店と言うことになると思う。
和風の食材を扱うFC店ではこのほかに、居酒屋のチムニーが売上げ32.3%増、お好み焼きの道とん堀が14.7%増、居酒屋の備長扇屋が14.1%増、大衆食堂の大戸屋が12.0%増、牛丼の吉野家が10.0%増などが大幅に伸びた組。
和風の店を除くと、B−R サーティワン アイスクリームが22.3%増、ステーキ店のペッパーランチが21.1%増、サンドイッチの日本サブウェイが17.5%増が目を引く。
社会全体の高齢化に伴って、洋風から和風飲食店にお客さんが移りつつあると云った指摘は、この傾向を見る限り的を得ているようだ。
これからフランチャイズ飲食店での起業を目指す人にとって、この傾向はしっかり頭に叩き込んでおく必要がありそうだ。
一方、今回の調査によって鮮明になった不振組は、コンセプトをはっきり打ち出せないラーメン店。ハイデイ日高や幸楽苑など低価格ラーメン店が売上げを伸ばし、他方に高価格のこだわりラーメン店があるなかで、コンセプトをはっきり出せなかった大型フランチャイズラーメン店が、軒並み売上高も出店数も大幅に減らしている。
外食産業自体の売上高はほぼ微増の状態なので、売上げを伸ばすには、勢い他の店のお客さんを奪うしかないのが、現在の外食産業の現状である。
初めてフランチャイズに加盟するにあたっては、現在が好調のお店、将来が楽しみなお店に絞った本部探しに徹することだ。
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