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             『 徐々に変わり始める、起業資金のつくり方』

           今年のノーベル平和賞には、バングラデシュで農村の女性に無担保融資を行
          なっているグラミン銀行と、その創設者のハマド・ユニス総裁に決まった。
           この銀行のユニークなところは、農村女性が5人くらいのグループを作って融
          資を申請し、融資の規則やグラミン銀行の方針などの教育を受けて、それにパ
          スすると融資が受けられる。
           資金の用途は、畑の作物の種の購入、家畜の購入、井戸の掘削など、ほとん
          どは途上国での起業資金として使われている。
           これまでに660万人の女性が融資を受け、98%は返済されている。96年か
          らは同じ女性たちを対象に携帯電話の販売も行なっており、携帯を使ってのビ
          ジネスを女性たちが始めている。
           米国で経済学の勉強をしたユニス総裁は、働く意欲があり、技術があるのに、
          資金不足から身動きのとれなかった女性たちの社会参加の手助けをしてる。

           最近、ヨーロッパで最も経済が元気な英国でも、ネット銀行エッグの創業者
          などが、05年春に設立したゾーパの融資制度がユニークだ。
           ゾーパは、与信審査を受けて会員登録した人たちが、ネット上で借り入れ、貸
          し出し希望の金額や期間を提示、その仲介を仕事にしてる金融機関。
           ゾーパ自身は、融資額の0.5%を貸し手と借り手の双方から手数料として受
          け取る仕組みで、これまでの貸倒率は0.05%未満と従来型の銀行とは比べ
          ものにならない健全性を保っている。
           日本円にして100万円程度を3年間借りる場合、英国の大手銀行なら年8%
          台の金利が取られるのに、ゾーパなら4%台で借りられる。
           貸し手側も、銀行預金の金利よりも高い利回りが得られるうえ、50人以上の
          借り手の金額をまとめ、それを小口に分けて貸し手の融資希望者に割り振るた
          め、貸倒リスクを分散する仕組みを作っている。
           この資金を使っての起業も多数行なわれており、現在は会員数が約9万人、
          米国への進出も検討されている。

           翻ってわが国では、起業を行なうにあたっての資金作りは、相変わらず本人
          の自己資金と、親族からの借り入れが70%以上を占めている。
           起業にあたって、銀行や信金などは、あってないに等しい金融機関である。そ
          のくせ、起業が軌道に乗るとしつこいほど顔を出すのも、わが国金融機関の特
          長である。
           ただ、銀行の中にも、女性向け起業資金の貸し出しに積極的な西京銀行、特
          異な貸し出し戦略を展開している新生銀行、東京スター銀行など、徐々に金融
          機関が変わりはじめている。
           また、ゾーパのような金融機関が、銀行の反対を押し切ってわが国にも誕生
          する可能性がある。以前なら絶対生まれることのない金融機関だが、グローバ
          ル化が進む現在、世論の力によって米国に続いてわが国にも生まれることを期
          待したい。
           国民生活金融公庫の貸し出しにしても、借りれるかどうか最後は、事業計画
          書の内容と担当者への説得力によって決まる。
           起業へ向けての資金作りも、根気よく情報をあつめて、他の人とは違う独自
          のスタイルを考えだすことが大切だ。
                           
                           
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