わが国を代表する起業家の京セラ・稲盛和夫氏や日本電産・永守重信氏が、起業で苦戦している人を励ますとき、異口同音に口にする台詞が「今の苦労は、成功のための大切な通り道」。
通り道がプロセスになったり、坂道になったりするが、言わんとすることは、起業をして軌道に乗るまでの苦労が、その後の事業に大きな意味をもっていると云うこと。
起業家というより事業家としての資質は、ほとんどこの時期に培われると云ってよい。現在、成功している起業家のほとんどが、起業当初に悪夢のような時期を経験している。
開業してからほとんど来店客のない日が2月、3月と続く。社員が将来の不安から辞めだす。販売商品やサービスに欠陥が見つかる。詐欺に遭うのもこの時期が多い。開業資金が底をつく。また、不慣れが原因で、後々考えられないようなミスをするのも、この時期にはよくあること。
このような悪夢が、軌道に乗るまで続くことを覚悟しなければならない。この時期に、起業から撤退する人が多いのも確かだ。
成功する起業家はこの時期、後に語り草になるような超人的努力や人との出会いによって悪夢を乗り越えている。
この過程で、自信や度胸や経験を身につけ、後々の目に見えない財産となっている。
逆に、起業当初から幸運続きで注文がドンドン舞い込むタイプの起業家は「楽しい日々は、失敗へ向けてのプロセス」と云うコトワザもあることを肝に銘
じておくべきだ。
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