1900年代初頭、美術作品を歴史的観点から分析・研究したドイツの美術史家アビ・ワールブルグが残した名言『神は細部に宿りたまう { 真理、真実というものは、国家権力とか、抽象的な大儀とか、あるいは立派な理屈のなかに存在するのではなく、私たちの生きる現実の細やかなディテールス(細部)の内にこそ宿っている=内橋克人氏 } 』 の精神は、起業においても立派に生きづいている。
ともすると、起業に際しては政府発表などを鵜呑みにして、少子高齢化が大問題ときくと老人向け介護サービスや高齢者向け旅行サービスなどに、起業のチャンスがあるように思われるが、この2、3年の社会の流れを見ていると、中高年や老人向けのサービス分野には、大企業から零細企業まで多くの企業が参入して激しい過当競争を繰り広げ、黒字確保もままならない企業が多い。
一方、少子化で顧客数が大幅に減少するはずだった子供向けのサービス会社は、両親とその祖父母を合わせたシックスポケットの言葉に代表されるように、子供一人当たりに掛ける金額が増えていることで、高い利益を上げている。
市場公開している学習塾各社は、軒並み予想以上の収益を上げ、子供向けファッションや子供向け旅行企画など、新しい需要を喚起している会社も高い利益を上げている。
起業の成否を決めるのは、政府発表や机上の需要予測ではなく、個々のお客さんの消費行動に対応できるかどうかである。大切なことは、お客さんの生の声が聞ける場所にいるか、どうかだ。
とかく来客数が少ないと不安になって、街の噂や人の言葉に気持ちが振れやすくなるが、転ばぬ先に自分独自のお客さんの声が聞ける場所を確保することが一番だ。
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