起業の世界には、まともな学校教育を受けなくても、若くして起業して成功する人たちが大勢いる。
机に向かっての勉強よりも、実際に商売をして稼ぐ方が好きで、早くから起業に人生の目標を据えて生きている人たちである。
他方、有名大学を卒業して、起業に関するテキストはほとんど読破しても、起業に失敗する人たちも多い。
よく経営系の学生が軽蔑を込めて口にする、「脳内起業家」にこのタイプが多い。自分の頭の中だけで空想の起業に耽るタイプで、社会性やコミュニケーションをまったく考えない人たちである。
この比較で分かるように、起業とは知識や学習の優劣ではなく、個人の起業スキルの優劣によって成功か失敗が決まる。
米国のビジネススクールでは、50年以上前から起業に向けての専門的な研究や学習が行われているが、ここでは、ビジネス・ゲームや経営のケース・スタディなど、現実にビジネス世界で起った事例をモデルに個々の学生のスキルアップが図られている。
起業がスキルである以上、学ぶより真似る方が先だからである。
自分の理想に近い起業モデルを探して、まずそれを真似ることで起業を立ち上げる。そして、そこから自分独自のビジネススタイルに変えていくのがスキルの一般的な習得法だ。
起業に成功した人の話を聞いても、自営や会社経営の父親のスタイル、若いとき仕事を覚えたアルバイト先のスタイル、以前勤めた会社のスタイルなど、意識的、無意識的によく知っている起業モデルを真似してスタートを切るケースが多い。
真似て枠組みを作り、起業を進めながら本格的に学ぶことで、起業スキルは一段と高いレベルに到達できる。
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