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『弱い起業と強い起業』助走期

同じ時期に起業をスタートさせた二人の経験者の話。一人は4カ月ほどで比較的楽に起業した人と、もう一人は1年以上もかかって起業にこぎ付けた人と、対照的な二人の話しを聞く機会があった。


楽な起業をした人は、以前勤務していたシステム開発会社からのれん分けに近い形の独立開業で、有限会社として従業員3人を抱えての起業だった。


仕事の内容は、以前の勤務会社から下請けの形で分けてもらったシステム開発を行っている。


他方、起業の立ち上げに時間がかかったコンピューター会社勤務の人は、在職中から独自のカレーの味探しに奔走、時間をかけて店舗運営なども学んだ上での開業だった。


一般に、特定の少数顧客で成り立つ起業を弱い起業、不特定多数の顧客を相手に行う起業を強い起業という。


以前勤めていた会社から仕事を分けてもらって、下請け仕事をする起業は弱い起業の典型である。既に、ビジネスモデルが出来上がっていて、ほとんど危険を冒さず簡単に起業ができる反面、親会社の業績の影響をもろに受けて、不安定な経営を強いられる。


このような起業の経営者は、自分のビジネスの弱点と強さをよく認識して、早急に同業他社との提携関係の構築や新規の顧客作りなどによって体質改善を図る必要がある。


他方、独自のカレー味を探す努力は、最近のフランチャイズチェーン流行りで、独特の味が失われつつあるわが国では、モノ作りの原点に通じていて、来店客から高い評価を得ているようだ。当然、模倣に走る後続のカレー店も予想され、一層のアイデアと知恵が要求される。


起業を前にして、自分の起業スタイルが弱いのか強いのか、よく認識した上で、事前に次の対策を考える必要がある。


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