経済が低迷していた1990年代後半から2000年初頭にかけて、わが国の政治経済は、明治維新、第二次大戦後に次ぐ、三度目の大改革期にあると云われる。
また最近は、わが国では400年ごとに大きな節目があって、4世紀には大和朝廷による日本統一、8世紀には京都に都が出現、12世紀末には初めて武士による鎌倉幕府が誕生、17世紀初めには江戸幕府を徳川家康が開き、21世紀初めの現在は、有史以来わが国5度目の時代の変わり目と云われている。
戦後、わが国経済が世界第二位の国内総生産を生み出すに至った最大の要因は、規格化された大量生産方式によって、生み出される高品質製品を国内外で販売し、高い経済成長を維持し続けたからである。
そのためには、規格化されて長所も短所もない、個性や独創性を持たない人間作りが、偏差値教育のもとで行われてきた。少し過激に聞こえるかも知れないが、会社社会を見渡すと、辛抱強く、組織への協調性と上司への忠誠心だけで管理職になって、サラリーマン生活を乗り切っていこうと考えている人は多い。
ただ、時代の変わり目に共通しているのは、幕府も藩も、軍も役所も、社会を支配していた組織がなくなって、それに代わる新しい組織が生まれるということである。
企業の場合、利益を上げなくては存続基盤がなくなるので、時代の変化に即応して絶えず変身を試みるが、多額の負債を抱える役所は、変わろうとする意欲が乏しい。そこで働く役人にとっても、ますます厳しい時代が待ち受けていると思われる。
時代の変わり目に求められる人材は、規格化され大量生産方式で作られた人間とはまったく逆で、物事の判断を自分の思考で行い、自分の能力に自信を持つ、組織の中では「出る杭」型の人間である。横並びを好まない人間であり、人のやらないことでリスクを取れる人間である。
それは、起業に最も適した人間である。
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