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『旅の企画をビジネスに起業して』

平成24年8月28日

 「みんなで旅をつくる」と言われても、最初はそれがどんなことか意味がよく判りませんでした。映画「あなたへ」の中に、元教師役のビートたけしが主人公の高倉健に向かって、「放浪と旅の違い、判りますか?」と聞くシーンがあります。「(行く先の)目的があるか、ないかの違い」だそうです。みんなで旅をつくるのは、目的をつくることのようです。


 大学生のIさんが作った会社「トリッピ−ス」は、みんなでつくった旅を実現に向け、ネットを通じて運営をする会社です。旅の参加者を集めるのは、Facebook です。Facebookは実名で登録して、ある程度身元がはっきりしていますから、旅好きや冒険好きな人がIさんの会社が運営するサイトに登録して、旅の目的を探してもらいます。


 2011年3月の設立以来、既に旅への参加者は1千人を越えています。トリッピースがこれまで運営した旅の中で、わたしの関心の高い旅を上げてみます。「ラオスで象使いになる旅」、「ウユニ塩湖とマチュピチュを巡る旅」、近くでは栃木県で4千メートル上空からのスカイダイビングなど、アイデアと参加者の人数確保によって実現します。

 現在、トリッピースの登録者は2万人を突破していますから、急成長している会社といえます。会社運営の仕組みは、トリッピースに登録してもらい、希望する「旅のタイトル」「イメージ写真」「旅への想い」の三項目を提案してもらいます。この提案に乗って旅を目指す人が一定数を越えると、トリッピースが旅行代理店と交渉します。


 その間にも旅の希望者同士は、共通の目的を実現するため、スケジュールを決め、ネットでプラン作成を行います。単なるトラベルツアーへの参加と違い、共通の目的の旅に向かって、一人ひとりは物語を作っていきます。トリッピースにとっては、この旅で旅行代理店に支払われる料金の10%が収入になります。


 みんなでつくる旅は、このような仕組みで出来上がります。旅とインターネットとは、たいへんビジネスの相性がよいと言われます。トリッピースは、ネットのマッチングビジネスの運営会社として、不振の旅行会社の中で傑出した成果を上げています。ただ、現在の仕組みでは他の会社に簡単に真似られる可能性があります。もう一つ、二つ、独自の仕組みを考える必要があります。





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