大阪でパソコン教室を開いているHさん(40)の始動は遅い。特別な用事がない限り、家で奥さんと昼食を取った後の午後1時から2時の間に教室に入る。
この教室を開設したばかりの2002年4月には、朝一番の8時に教室に到着して授業の準備を始めていたが、今は従業員2人、アルバイト8人の10人のスタップが2つの教室を運営していて、時間的には余裕をもって仕事に取り組めるようになった。
Hさんは、学校を出て15年間、化学会社に勤めるエンジニアだった。
工場勤務がほとんどだが、本社や海外子会社での勤務も経験して、サラリーマンとしては将来を嘱望されていた。
ただ、彼は学生時代にサッカーで痛めた腰痛の持病があり、息苦しいサラリーマン生活を重ねるに従って、3年に一度寝込んでいたのが、2年に一度、1年に一度と増えていて、会社を辞める年には半年間で三度も寝込んでしまった。
持病を抱えている事情もあって、Hさんは比較的早い時期から起業を考えていた。ただ、当初はパソコン教室より受験生向けの学習塾を強く意識していたが、各フランチャイズ・チェーン本部の授業内容や費用負担を比べているうちに、現在契約しているパソコン教室が最適であると思えるようになった。
その理由は、
@教室の売上げに対する本部の取り分のロイヤルティーが、本部から配給されるソフト使用に限定され、しかも定率性であること
A契約における自由裁量な点も多く、地域とのかかわりや他の教室との交流が認められていること
B他の本部と比較して授業料金が安く設定されている点などを上げた。
Hさんは会社を辞めたあと、一度病院に入って腰の手術をした後にパソコン教室の開設準備に入った。
開設にあたっての初期投資は、加盟金、研修費用、教材費、販促費、パソコン、机・椅子、テナント保証金などで約450万円。
現在、一教室の在籍者数は約500人で、一日の受講生徒数が平均50人、年間売上げ約1500万円が、Hさんの1教室あたりの総収入だ。
本部ロイヤルティーが約17%近いほかに、人件費、家賃、生徒向けのコーヒーやお菓子などの備品まで含めて、経営は決して楽ではない。
しかし、昨年開設した二つ目の教室に続いて、近い将来三つ目の教室も開設する予定で、Hさんの夢はドンドン広がり、そして一つ一つ実現している。
しかも、激しい腰痛で布団に寝ることが出来ず、椅子に腰掛けて寝た日々が嘘のように、今は腰痛に悩まされることもなくなって、パソコン教室の経営に集中することが出来る幸せを感じている。
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