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独立開業
『学習塾を第二の職場に』

わが国では、高齢化と並んで少子化が大きな問題になっている。学習塾は子供の衣料品や玩具などと並んで、少子化の影響を最も大きく受ける産業とされてきた。
埼玉県西部で学習塾を営むFさん(47)は、1年前に現在の場所に学習塾を開設したが、今なおこの少子化という見えない影にぼんやりとした不安を感じている。


彼は20年以上に渡って、電機メーカー系列の部品会社で製造部門の仕事をしてきた。
そのほとんどが工場勤務で、生産性の向上と安全を求める技術屋として誇りの強い男である。そのため、1990年代半ばからの長期の不況で、生産現場をまったく無視したモノ作りを強制する事務屋上がりの経営者には相当不満を強めており、40代に なると自然と起業することを意識した。
Fさんは技術屋特有の思考法で、用意周到に起業準備を進めた。長い時間を費やして、自分の夢や適性と向かい合い、たどり着いた結論が学習塾の開業だった。彼は子供が好きだったし、彼らの才能が生み出す無限の可能性に元気を得ることができた。
また、理数系の勉強が得意で、若いころは塾講師の経験もあった。そして何より、会社で接する若い技術者を見て、社会人としての基本的な心構えへの不満やモノ作りへの熱意の欠如を感じて、受験勉強のスパイスとして中高生へモノ作りの楽しさを伝えたいと感じてした。


実際に退職する前から、Fさんは知人の伝手で現役の塾経営者や学生時代の友人 の学校関係者などに会って、積極的に学習塾情報を仕入れた。また、実際に塾の学習風景を見せてもらった。そして彼の合理的思考から導き出されら結果は、教育方法から経営まですべてをパッケージにして塾経営者を指導するフランチャイズ制学習塾への加盟だった。
退職後の彼は、興味をもった学習塾本部5社から資料を取り寄せ、開設資金やロイヤリティを勘案して絞込みを行い、最後に残った2社の教室の見学をしたうえで現在の本部を決めた。


開設から1年3カ月を経て、現在Fさんの教室の生徒数は約60人。当初考えていた損益分岐点の生徒数50人を上回り、経営的には徐々にではあるが軌道に乗りはじめている。また、当初不安に思っていた少子化問題についても、国全体のマクロ問題と埼玉県の西部のミクロ問題では、まったく違う様相であることを実感できている。
ただ、生徒指導と募集に手一杯の毎日で、Fさんが設立にあたって思い描いた、モノ作りの楽しみを知ることのできる学習塾づくりまでには、もう少し時間がかかりそうである。


ポイント 


1 Fさんの場合、起業を思い立ってから学習塾開設まで十分な準備期間をつくったことで、工場勤務で培った製品の生産ライン開設までのノウハウを生かすことができた。特に、フランチャイズ制を活用しての起業を考える場合には、開業場所でのマーケティングや対本部との交渉など、自分があるていど納得いくまで時間的な余裕が必要である。


2 起業を考える時、理想の仕事は自分の長年の夢を現実の仕事とすることであ る。子供好き、教え好きなど大切な動機ではあるが、同時に仕事となるとFさん の場合、塾の財務管理や生徒募集の営業など苦手な業務も処理しなくてはならない。その点、Fさんはフランチャイザーの本部からの助言や供給されるPCソフトなどあまり負担を感じることなく仕事を続けていける点も見逃せない。


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